本当に欲しいものは何か?をはっきりさせる

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本当に欲しいものは何か?をはっきりさせる

この連載は、うつ病を治せなくても、健常者と同じように日常生活が送れる、働けることを目指すスタイルで書いています。しかしながら、それは現実を無視するということではありませんし、制約条件を無かったことにすることでもありません。

まず、うつ病になったこと。特に私のように長期で罹患している人は自分がそうした障害を持っているということを受け入れなければいけません。これは言葉で書くと簡単ですが、実際にはかなり難しいことです。私も、この病気を受け入れることには5年以上はかかったと思います。

受け入れるということは、単に病気であること、(精神)障害を持っていることを認識するというだけのことではありません。こうした障害を持っている自分でもいいと心から納得することです。病気や障害を自分の外部のもの、自分にaddOnしたものとして認識するのではなく、病気や障害も自分自身であるという認識に立つということです。病を嫌わないという言い方もできるかもしれません。病を得た自分を好きになるという言い方もできるかもしれません。「しゃーないやん」って思う感じも近いかもしれません。

とまれ、この境地に達するには時間がかかります。こればっかりは努力でどうこうという次元のことではないと感じています。時が、いずれそこに連れて行ってくれます。ただ、少なくとも頭のレベルで病であることを否定し続けていたのではいつまで経っても到達できないので、まずは身体で納得できていなくても、思考レベルで受け入れましょう。

さて、病を受け入れた、として何が起きるか。受け入れると所与の条件として「自分はうつ病である」という前提を置いて、その上でどうするか?という発想で生きることができるようになってきます。うつ病を治す(完治させる)ということにこだわり続ける限り、病以外のことに向き合うことから逃げることができてしまいます。これはあまり言われないので強調しておきたいのですが、病にこだわり、病をとにかく治そうという姿勢は、時に目の前で生じている本当に解決しなければいけない問題から目を逸らし、人生が上手くいかない原因を病に求める姿勢と表裏一体の関係にあります。しかも、本人は治療を諦めない姿勢という美化した自己評価を簡単に得られるのでタチが悪いのです。病を受け入れることが大切と私がしつこく書く理由はここにあります。

閑話休題。「自分はうつ病」であるという前提を置いて、その上でどうするか?でした。考えればすぐにわかりますが、健常者に比べて、病を得た私たちは現実として不利なことがあれこれあります。

病気の症状があります。薬の副作用もあります。寛解状態になければ8時間働くことも大変です。この状態では安定して通勤することも叶わないでしょう。寛解状態にあったとしても、再発のリスクがあるため、無理は効かない身体です。残業は避けなければなりません。疾病差別もあります。就職や転職活動で不利になることは否めません。

うんざりしますね。しかしです。ここから始めるしかありません。不利な条件で戦わなければならない。これはどうしようもありません。

配られたカードで勝負するしかないのさ by スヌーピー

https://motivation-up.com/word/032.html

まさにこれです。
結構、不利なカードで勝負しなければならない。これは変えられません。

こういう状況で大切なのは、では、何なら切れるか?諦められるか?ということです。不利なカードなのですから、なんでもかんでも叶えるというわけにはいきません。叶えられることは有利なカードを持っている人に比べたら少ない。そこは動きません。でも、それがイコール幸せになれないか?というとそうではありません。幸せになるために必要なことはそんなに多くはありません。そして、何が叶えば幸せを感じられるかは、人によって違います。

だから、不利なカードを持つ「うつ病」を患った人は、持てるリソースを健常者よりより少数の外せない重要項目に集中投下することが求められる。実は健常者との違いはここだけです。つまり、自分がこの人生で本当に欲しいものは何か?これをはっきりさせて、そのために必要なことにリソースを集中させる。それだけなのです。

お気づきの方も多いかと思いますが、健常者でも、自分が幸せになるために本当に必要なものを見極めてそこにリソースを集中投下するということができている人は非常に少ないです。だから、病を得たからといって健常者と同じカードで勝負することはできませんが、幸せになるというゲームにおいてはそれほど圧倒的な不利ということでもありません。むしろ、制約条件を認識してゲームに挑んでいる分、有利かもしれません。

あなたはどういう時に幸せを感じますか?何があなたの幸せには欠かせませんか?

例えば、私には妻と愛犬と穏やかに過ごす時間が欠かせません。友人と楽しく語らう時間が欠かせません。そのために最低限の収入が必要であると判断しました。逆に言えば、大きく稼ぐ必要はないし、そこは重要じゃないと判断しました。少なくても安定した収入、かつ、プライベートの時間を安定確保できるスタイルが大切。このように判断しました。また、妻、愛犬、友人といった限られた人間(?)関係以外を上手く治めることも諦めました。特に実家の人間関係はすっぱり諦めました。

このように取捨選択を通して自分が本当に大切にしたいもの、欲しいものを明確にし、絞り込んで、不要なものは捨てる。ここの感度に磨きをかける。何度も言いますが、「うつ病」を患えば不利なカードで勝負をすることになります。しかし、幸せには絶対になれます。そのために、最低限必要な条件を洗い出しましょう。

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