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#003. メンバーをコンフォートゾーンに留めよう

おはようございます。Shinchiです。

このチャンネルでは、日比谷のIT企業でPdMとして働く私のエンジニアやマネージャとしての日々の雑感やふりかえりをお送りします。

どうぞ何かしながら、ゆるりとお聞きください。

今日は12月の1日、金曜日です。

ついに12月ですね。2023年ももう終わりに向かっています。みなさん、やり残したことはありませんか?私はめちゃくちゃあります。毎年、この時期は目標やタスクの棚卸しをして、不要になったものを積極的に削除したりしています。やり残しを「やる」のではなく、そもそも「やらなくていい」判定をすることで減らしていくスタイルです。年始を清々しい気分で迎えるためにも有効なのでおすすめですよ。

さて、今日は「メンバーをコンフォートゾーンに留めよう」というお話をしたいと思います。

皆さん、「え?」って思いました?コンフォートゾーンというのは、快適にストレスなく過ごせる空間や仕事領域だったり、端的に言えばその人の得意領域だったりであることを示しますが、一般的には「どうやってコンフォートゾーンから出させてメンバーの成長を促すか?」という文脈で語られることが多い言葉です。

ですので、コンフォートゾーンに「留める」というのはほとんど推奨されていませんし、語られていません。

しかしながら、コンフォートゾーンは、結果的にそうなっている状態であって、狙って作るものではない、と少なくとも私は考えています。つまり、コンフォートゾーンを抜け出そうとして未知の領域に飛び込んでコンフォートゾーンを拡張していくのではなく、コンフォートゾーンの中で得意なことを磨き上げていたら、結果的に周辺領域に領域が広がった、というような形が望ましい形だと考えています。

そもそも、コンフォートゾーンというのはそのメンバーの個性であり、特性であり、これまでの経験の集約であり、基本的に変わることはあっても変えられるものではないと考えています。少なくとも簡単には。性格のようなものと位置付けています。

コンフォートゾーンをコントロールできる、という発想は次の3つの問題点を含んでいると私は考えています。

1. メンバーの得意なこと、特性を活かそうとしていない

2. 平均的、もしくは理想的な人材という現実には存在しないモデルを基準にして、不足を埋める発想をしている

3. 人間は原則として、うまくできないことを楽しめるようにできてないことを無視している

スティービー・ワンダーは「喜びのない仕事には誇りを感じられない。開校の仕事は、喜びに満ちた仕事なんだ」と語っています。人は自分の仕事に愛を感じる時に最も素晴らしい仕事する、ということです。これは真実だと私は考えています。

メンバーをコンフォートゾーンから出そうとする試みはこの逆の指向性を持ちます。「あなたは○○という能力が足りない。今のままではいけない。だからそこから抜け出して、新たな能力を手に入れなさい」そういうメッセージをメンバーに与え続けます。つまり、仕事が先にあり、メンバーの特性は後、という発想なのです。

しかし、最高の仕事を追求するならそうじゃありません。メンバーの特性が先、仕事は後です。仕事はメンバーの特性に合わせてアレンジしないといけない。それがマネージャの仕事だと私は考えています。

マネージャの仕事は人間を交換可能な部品のように見立てることではありません。そもそもそれは現実に即していないモデルです。個別具体的なメンバーの特性を勘案し、仕事をアレンジして、メンバーに仕事を愛して、楽しんでもらい、最高のクオリティを引き出すことがマネージャの仕事です。メンバーに幸せになってもらい、1日でも長く一緒に働きたいと思ってもらえること、それが結果として熟達をもたらし、個人にも組織にも卓越をもたらすと考えています。

率直に言って、これは簡単な仕事ではありません。私も満足にできていないことが多いです。しかし、だからこそ、マネージャは高い給料をいただいているのではありませんか?メンバーのQoL向上にコミットしないマネジメントは、私は嘘だと思っています。

メンバーにコンフォートゾーンに暴れ回ってもらいましょう。メンバーの足りないところではなく、抜きん出たところに注目しましょう。

それでは、今日もいってらっしゃい。

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