大丈夫だって、自分に言おう

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大丈夫だって、自分に言おう

怨嗟響めくうつ×2思考

うつ病を患うと、自分自身に対して投げかける言葉が基本的に怨嗟の言葉ばかりになります。
「自分はダメなやつだ」
「生きていても何の意味もない」
「死にたい、消えたい」
etc…

また、実際に自分を取り囲む状況も地獄化します。
人間関係、仕事、収入、そして病そのものに対する不安(いつまで続くのか?これは治る時が来るのか?どうやったら治せるのか?など)が常に自分に付き纏うからです。

たくさんの不安や自分自身に投げかける怨嗟の言葉によって世界を眺める視界に歪みが生じ、歪んだ視界からフィードバックを受け取ってさらにその歪みを強めていきます。

不安だから行動できなくなっていく。他者を疑うようになっていく。行動できないから状況はさらに悪くなっていく(働けないとか)。疑うから人が周りから離れていく。離れていったことによって誤った信念を強化する(「ほら、人が離れていったじゃないか。やっぱり自分はダメなんだ」といった具合)。

思考ではなく、具体的なアクションで自分をコントロールする

このような状況では、懸命に考えてどうにかしようとしてもドツボにハマるだけです。何故なら病気で思考がバグっているからです。
ではどうするか?
思考ではなく、具体的なアクションで自分をコントロールします。

やることは簡単。毎日、頻繁に、鏡に向かって自分に声をかけます。「大丈夫だ」って。自分自身の目を真っ直ぐ見て話しかけます。

「大丈夫だ。できる。私はできる。絶対にできる。大丈夫だ」
こんな感じ。

実行のポイントは忘れないことと本気でやることの2点。控えめにいって家族には見せられない光景なので、場所とタイミングは選ぶ必要があります。おすすめは手鏡を用意して、トイレに行くたびに行うこと。スマホのカメラでもいいかもしれません。トイレに限らず、何らかの日々行うことに紐付けて行うことが忘れないために重要なことです。私の場合、入院中に病室の荷物入れに小さなミラーがあったので、そのミラーに向かってトイレから戻る度にブツブツと話しかけていました。看護師さんに目撃されていたらお薬が増えてしまっていたかもしれません。

これは何を目指して行っているかというと、主要な悩みとそこから派生する余計な悩みを分けて攻略することを目的としています。「大丈夫だ」という言葉自体によって気分の落ち込みが改善されるという効果もあるのですが、残念ながらめちゃくちゃ効果があるわけじゃありません。あくまで落ち込み改善は副次的効果に過ぎず、主作用は主要な悩みに集中する力を得て、思考の混乱を鎮めるというものです。

ルートは真剣に攻略する、枝葉は「大丈夫だ」で無視する

うつ症状の辛く厄介なところは、不安や悩み、恐怖、怒り、焦燥感など様々なネガティブな作用を持つ思考が次々を湧き出て連鎖するところです。思考がバグっているので何も手を打たなければこうなってしまいます。

一つ一つのネガティブ思考のダメージもそこそこあるのですが、ともかく連鎖されるとキツいです。自責のサンドバッグ状態になってボコボコになってしまいます。そこで重要なのが連鎖はさせない、というスタンスです。

ネガティブ思考(悩み)の連鎖を止められると次のような効果が得られます。

  1. ネガティブな思考を各個撃破できる
  2. 重要な思考と瑣末な思考に切り分けできる

ポイントは大きくてたくさんの悩みという総体に取り組むのではなく、個別の悩みに、それも重要な悩みに真剣に取り組む体制を整えるということです。悩みの連鎖の元になっているような根源的な悩み(ルート)には真剣に取り組みます。そして、ルートの悩み以外は枝葉の悩みと判じて「大丈夫だ」の一言で無視する。

鏡の中の自分に向かって「大丈夫だ」と話しかける習慣はこのためにあります。つまり、ルートは真剣に攻略する、枝葉は「大丈夫だ」で無視する。順番としては枝葉を無視することが先です。枝葉を無視してスッキリした状態ではじめて何がルートなのかがわかるような構造になっているからです。というより、症状が酷い時は物事の優劣、優先順位とかつけられませんので、ルートだろうがなんだろうが一旦「大丈夫だ」で無視を試みるのが最適解です。何度も無視を試みるけれど、それでも浮かび上がってくる悩み、思考、それがルートです。

ルートが強大な場合は無理をしない

一点注意があり、私の場合もそうだったのですが、ルートが家族関係のような厄介なテーマの場合、すぐの攻略は無理です。病気が改善されて元気になるまで取り組むのは危険です。こういう場合は、その悩みがルートであることだけ認識できていればOKです。なぜルートを認識できているだけでOKかというと、その他の有象無象の悩みに捉われずに済むようになるからです。ルートがなければ消えるような悩みにいちいち付き合う道理はありません。もちろん、ルートは残りますが、強大な敵一人を残すだけになりますので、連鎖にやられることは防げます。

ルートが強大な場合は、病気そのものに関する悩みに集中するようにしてください。結局、病気が良くなってくれば、いまルートに感じている強大さも薄れていきます。信じられないかもしれませんが、あなたがいま考えている以上に病気の影響で深刻に見えている問題は多いです。病気を治すために悩むことに集中する。実は、これが状況を良くする最も効果的な方法でもあります。

また、「問題は必ず解決しなければならない」という思考に注意してください。大丈夫です。解決しなくても生きる道はあります。問題と共存していくという生き方もあることを頭の片隅に入れておいてください。

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